モノクロームの恋

"パパスカフェ"にはよく行く。光沢のある茶色の陶器タイルの床が好きだ。鼻腔をくすぐる、ぶ厚いシナモントーストや、形を崩さず、行儀よく口に運びこめるホットプレスサンドウィッチが運ばれてくると、ゆっくり幸せになる。カフェオレの香りが漂う居心地の…

他人の不幸を自分の幸せに変える

the Subservient Chicken 最近、広告が話題にならない。地上波を観なくなったから?面白くないから?特に、元大リーガーの証券会社のCMなど、なんでも一流を目指す真面目な人柄が、痛々しい。もう演技しなくていいですよと言いたい。 でも、思わずほっこりす…

毒づく男

Alien3 映画「エイリアン3」の打合わせが熱をおびていた。 ”エイリアン”は、リドリー・スコットが大ヒットさせ、タイタニックなど特撮得意のジェームス・キャメロンが引き継ぎ、さらにヒット。 集客力のあるソフトだから、3作目をつくりたいというのが、スタ…

オーディションで恋に落ちる

E.T. ハリウッドでは、映画のオーディションがない日はない。今度こそはと、俳優たちが集まってくる。仕事を得るためには、自分の能力を100%見せる努力を惜しまない。その人のすべてを知る、1番の機会だ。何度もデートを重ねて得る感触よりも、たぶん正確な…

指だけがおぼえていた

小説「雪国」の主人公がしばらくぶりに会った芸妓に、「指だけがおぼえていたよ」と挨拶するくだりがある。 「繊細な指の記憶」は、脳の記憶より強く、いつまでも残っている。川端康成の気づきが印象的だった。 触覚は、指先のみならず全身をおおっている。…

頭はスポンジ、ペンはアンテナ

once upon a time in Hollywood 好きと嫌いが、あいなかばする人がいる。 好きでもない嫌いでもない、普通そういう人は、気にもならなくて記憶から消える。それでも、少し気になる人が、監督、脚本家、俳優、プロデューサーをこなすクエンティン・タランティ…

人は人をどれだけ愛せるか

The Shining すさまじいピラニアのように、しつこいヘビのように、完成度を突きつめていく。完璧主義者のスタンリー・キューブリックの撮影現場の空気だろう。 しかし、完璧主義者についていけない人間が現れると、そこで船は沈む。キューブリックにとって幸…

マディソン郡の橋の彼が好きだった

gran trino ハリウッド俳優のクリント・イーストウッドは、演技が上手いのか、下手なのか分からない。 クリントの当たり役は、”ダーティ・ハリー”。複雑な心理戦はない。ひたすら容疑者を追い詰め、法廷に立たせることなく、マグナム銃をぶっ放す(無法者はど…

スケッチブックを離さない

Alien 体験でみんな知っている、映画は監督で選ぶと、ほぼハズレがない。コーエン・ブラザーズの「ファーゴ」「ノー・カントリー」、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」「シャイニング」、アレハンドロ・イニャリトゥの「バードマン」「リヴェ…

偶然は素敵③

©︎usa today ある昼下がり、人生が変わった男がいた。 製紙会社をクビになった27歳の男は、妻にどう切り出そうか迷っていた。自宅に戻り、地下の家事室に通じる階段に座り込んで、洗濯物をたたむ妻の後ろ姿を見ていた。 階段上の彼に気づいた妻は「お仕事は…

偶然は素敵②

shortform.comより引用 (前号より続く) 1年以上経ってようやく、アメリカ人向けのシューズが2足届いた。今までで最高の履き心地だと、ナイトは思った。 さっそく、オレゴン大学のバワーマンにプレゼントした。彼の目にかなったら、陸上部の公式シューズにし…

偶然は素敵①

Phil Knight & Bill Bowerman 「ふとした偶然をきっかけに幸運をつかみ取る才能」を”セレンディピティ”という。(※wikipedia) セレンディピティの男がアメリカにいた。そして、彼は、スポーツシューズをこよなく愛していた。 1950年代のアメリカでは、”走るの…

ホワイトデーは甘く

MODIGLIANI 雪でぬかるんだ泥道で、頭をうなだれている男がいた。彼の名前は、カール・ベンツ。 1888年に、彼は自動車をつくったが、誰も見向きもしてくれなかった。その12年後の1900年、ウオールストリート・ジャーナル紙の社説「最近、自動車を街で見かけ…

博士の異常な愛を感じる

Dr. Strangelove ロシア・ウクライナ戦争は、夫婦喧嘩だと捉えている人が多いのではないか。 夫婦喧嘩は、犬も喰わないと、賢いアメリカ人も加わらないと明言した。夫婦は別居しているが、妻からの離婚届を見て、そんなもの出せる身分かと、夫は妻を罵倒して…

もう一つの人生

Amelia Earhart アメリア・イアハートには、コインの裏表のような異なる人生模様があった。 1937年、赤道上空を飛行するため最長距離になる世界一周飛行を、彼女は明日に控えていた。 思えば、1923年、米国16番目の女性パイロットとして免許を取得。5年後、1…

女リンドバーグ

Amelia Earhart すべてに初めがある。そして、初めての人がいる。「初めて」は、さまざまなビジネスチャンスを生む、価値転換のマーケティングがある。このことは、昔からビジネスマンは気づいていた。 チャールズ・リンドバーグが単独で大西洋横断飛行を成…

パール男子

銀座通り、女性用のトートバッグを脇に抱えて、シルバーグレイの髪をなびかせて歩いている男性がいた。Iさんに違いないと思い、小走りで追う。「Iさん」と背中に声をかけた、振り向く直前に、人違いであることがわかった。とっさに彼を追い越して手をかるく…

メールルームから来た男

Hal Riney 映画「マッド・マン」で描かれていたように、'60年代のトップクラスの広告会社は、東海岸の有名大学卒業者が就職し”エリート・ヒエラルキー”ができていた。それを支えていたのが、同じアイビーリーグの企業経営者たちだった。 ある日、そのライオ…

好奇心はミルクだった

少年たちの友情を描いた”スタンドバイミー”という映画があった。このような体験をした大人たちはたくさんいると思う。私もそのひとりだ。 「怪しい男が悪いことをしたら交番に知らせよう」と、少年探偵団をつくって、街の怪しい男をつけたこともあった。しか…

私たちはそれほど馬鹿ではない

コーエン兄弟の「ノーカントリー」をまた観てしまった。DVDを含めて4度目。殺し屋バビエル・バルデムが現れるたびにゾクゾクして楽しむ。 しかし、初見でも楽しめないのが、地上波テレビ。とはいえ、世界は楽しい方向へ向かう。例えば、2019年のnetflixは、…

タイムマシンで帰りたくない

目の前には、壊れたドアがある。半分閉じた扉から出入りするようなきゅうくつさを、この2年、私たちはつねに感じていた。 マスクをつけた人の表情は見えない。初めて会った人は、ほぼ覚えられない。人と人の距離をとっていて、近い関係は生まれない。2022年…

慈善家と偽善者

コロナ禍、多くの人が困っている。人が困っていれば、助けようと思う。社会が病んでいれば、何ができるか考える。当たり前のことをするにも、人さまざまな方法がある。 元amazon.comのジェフ・ベゾ氏は、ホームレスのために、フードバンクや気候変動対策費に…

ふきげんな天才たち

Wieden+Kennedy "one for all. all for one.(すべての人のための一人。一人のためのすべての人)"このアメリカ海兵隊のスローガンが嫌いだ。 全体主義の臭いがする。組織のトップに近い人が、お酒に酔った勢いでよく言う。組織の求心力を強めるための方便だと…

緑のサンタ

サン 今年は、街にサンタがいないかも知れない。 サンタ不足らしい。「コロナワクチンを打てない子供を相手にするんだから、無理してサンタをやることはない」と家人に止められて、引退するサンタが続出しているそうだ。 小学生の頃、友達の家でプラモデルの…

どこかで、また会おう

流浪の人々の言葉には「さよなら」はなく、「どこかで、また会おう」だそうだ。 映画「ノマドランド」が教えてくれた。せっかく出会った人との別れはしのびない。だから思いを断つことなく、ずっと持ちつづけていたいという彼らの生き続ける知恵だと思う。 …

絶対大丈夫

教育テレビの受け売りですが、ライオンの生態を研究している学者の話です。 「ライオンがあくびをしているのを見て、”ようやく慣れて、警戒しなくなった”と思い込む初心の研究者がいるが、間違いだ」と学者が指摘している。実は、ライオンがあくびをしている…

コンピュータには見えない

「優勝を狙わない」と言い放ったプロ野球の新しい監督がいる。(100%の力を発揮させるには、選手をリラックスさせる必要があるという指揮官の深慮を評価して)世間が喝采した。 「建前」が優先する日本人の古い大脳皮質を少し刺激したことを望みたい。 ひる…

アバターもエクボ

自分の分身を持つ日がやってくる。 自分のアバターが出社して、同僚やクライアントのアバターと会議する。ズーム会議は、もう古い。オフィスも出社も必要ない。打合せが終わったら、おしゃれでバーチャルなパブで談笑する。 「え、アバター持ってないんです…

おばかさんは無敵

「おばかさん」は、どこにでもいる。しかも、無敵だ。自分勝手だけど、なぜかにくめない。 「おばかさん」は、英語で"moron(モロン)”。ギリシャ語で”弱い心の持ち主”から発している。 必要に迫られて早々と、西暦3年に生まれた言葉。やはり昔から物事の要点…

好きにならずにはいられない

日本では、最近のコロナ感染者の急減を、どの感染症の専門家も説明できないでいる。 米国でも、経済・労働の専門家が説明できない事態が生じている。 2年間のコロナ禍で生じた770万人の失業・離職者を充分にカバーする、求人件数が1,100万に達しているのに…