どこかで、また会おう

流浪の人々の言葉には「さよなら」はなく、「どこかで、また会おう」だそうだ。 映画「ノマドランド」が教えてくれた。せっかく出会った人との別れはしのびない。だから思いを断つことなく、ずっと持ちつづけていたいという彼らの生き続ける知恵だと思う。 …

絶対大丈夫

教育テレビの受け売りですが、ライオンの生態を研究している学者の話です。 「ライオンがあくびをしているのを見て、”ようやく慣れて、警戒しなくなった”と思い込む初心の研究者がいるが、間違いだ」と学者が指摘している。実は、ライオンがあくびをしている…

コンピュータには見えない

「優勝を狙わない」と言い放ったプロ野球の新しい監督がいる。(100%の力を発揮させるには、選手をリラックスさせる必要があるという指揮官の深慮を評価して)世間が喝采した。 「建前」が優先する日本人の古い大脳皮質を少し刺激したことを望みたい。 ひる…

アバターもエクボ

自分の分身を持つ日がやってくる。 自分のアバターが出社して、同僚やクライアントのアバターと会議する。ズーム会議は、もう古い。オフィスも出社も必要ない。打合せが終わったら、おしゃれでバーチャルなパブで談笑する。 「え、アバター持ってないんです…

おばかさんは無敵

「おばかさん」は、どこにでもいる。しかも、無敵だ。自分勝手だけど、なぜかにくめない。 「おばかさん」は、英語で"moron(モロン)”。ギリシャ語で”弱い心の持ち主”から発している。 必要に迫られて早々と、西暦3年に生まれた言葉。やはり昔から物事の要点…

好きにならずにはいられない

日本では、最近のコロナ感染者の急減を、どの感染症の専門家も説明できないでいる。 米国でも、経済・労働の専門家が説明できない事態が生じている。 2年間のコロナ禍で生じた770万人の失業・離職者を充分にカバーする、求人件数が1,100万に達しているのに…

愛がガツンとくる

プロ野球のドラフト会議のあらましをテレビで観た。 野球少年を育てた母親や父親や家族との秘話が紹介された。 離島の水上タクシーの運転手のお父さんが、揺れる小舟の上で投球させ、息子の体幹を鍛えた。大家族の兄たちが弟のために希望の道を捨て、弟を支…

人が好きになる

小説を乱読していて、ふと思ったことがある。 たいてい何かを失くした主人公がいる。 プライドだったり、友情だったり、愛情だったり、権力だったり。それらを取り戻そうとして、あがき、もがく、背を向けるなどが、描かれていたり。 心の闇の深さが描かれ、…

嘘のようなリアル

「長い曲がりくねった道を果てしなく向かって行っても、あなたの扉にたどりつけない」というポール・マッカートニーのLong Winding Roadの歌詞のように、人生は意地悪だ。 人生は、ねじれて、いびつな、ロング・ワインディング・ロード。 幸せなときがあって…

知りたいことだけが事実

brokeback mountain 茶色のコーデュロイの子供ズボンを脱いで、インディゴブルーのジーンズに脚を通して、青春が始まったような気がする。 ごわごわする肌触りが、大人だと思った。強靭な布地が、唯一であり、無二だった。1880年生まれのゴールドラッシュの…

危ない橋

ONE SHOW出品ポスター 9.11のNYに出張していて、大変な目にあった友人もいたことを、Facebookで知った。 9.11に関するFBI報告書が、最近公開された。NYツインタワービルを襲撃した「危険人物の情報は持っていたが、アイツらには分けてやらない。手柄はワレワ…

ジャミロクワイのような

スパイク・ジョーンズをご存知だと思いますが、IKEAの「ランプ」というCMでカンヌのグランプリを始め、世界の賞を独り占めした英国の映像作家。 "GOD IS BLACK"のセリフが忘れられない「マルコムX」の映画監督のスパイク・リーとスパイク・ジョーンズを長い…

1位しかない

全米オープンテニスで、大坂なおみは「しばらくテニスから離れたい」と言った。「彼女は甘えている。全てのチャンピオンは、厳しい状況を克服して、その地位を得ている」と誰かが言った。イワン・レンドルが引退した時「これで、毎日練習をしなくてすむと思…

眺めのいいCM

映画「眺めのいい部屋」 地下鉄通勤に疲れて「空が見たい」と思った。 「雨で洗われたきれいな緑を見たいな」とも思った。息がつまりかけていた。 しばらくたって、青空も雨空もつっきって走る列車通勤に変えた。 しかし、定期券の行き先が変わったくらいで…

大丈夫という不安

米国のある調査によると、一般的なアメリカ人は、週に14回は「大丈夫だ」あるいは「うまくいくよ」と言うらしい。 それだけ人は、不安なのだと思う。励ましが必要な人がたくさんいる。 でも、これで大丈夫だと思った瞬間から、大丈夫でなくなる。これが、人…

失ってはいけないもの

(広告で生まれた「愛」) 前号で「広告は愛だ」と書いた。思わず引いた人もいただろう。 愛とか、幸せとか言っているのは、関係が壊れそうになった夫婦くらいだ。普通に言う人がいたら、胡散臭い。 愛や幸せは、ちょっと手を伸ばせば届く安易な場所には置かれ…

愛はパリで

「広告は愛」と多くの人が言う。 企業に好感を抱いている人がいる。商品が好きな人がいる。この絆を強くするのが広告だ。 サーディン缶に並べられた小魚のように、広告には愛がいっぱい詰まっている。 しかし、愛さえあれば、広告が満たされるわけでもない。…

死ぬには、もってこいの日だ③

man ray 蛇に噛まれた夢を見た。ベッドから飛び上がり、激しく落ちた。脳が揺れたせいか、2、3日偏頭痛がした。「死ぬには、もってこいの日だ」の余波だろうか。 ある人から「どうして、ADのわがままを許したのか」というもっともな質問をされた。私が、AD…

死ぬには、もってこいの日だ②

man ray 人が生きていくプロセスは、実はカウントダウンできる。しかし、終わりの始まりなんて、誰も考えない。イタリアの青い空のように、みんな明るく生きている。私もそう振る舞った。 「雑誌広告は、いろんな色があって、眩しくないですか。こういうのを…

死ぬには、もってこいの日だ①

人と人が出会って、物語をつくる。それは、ヒリヒリした思い出になることもある。日記につけたくない展開だった。 「あなたを、盗人と思って付き合います」初対面のADが、ナイフのような言葉を突き刺してきた。「あなたの脳から全てのイメージを盗み出してや…

広告人とケンカした男

オリビエーロ・トスカーニ 最初に、広告界に喧嘩を売った男、ご存知、オリビエーロ・トスカーニの言葉を引用したい。 「今ある広告は、”死体”だ。安らかに眠る死者を見た者は、”まるで生きているみたいだ。微笑んでいるようじゃないか”と言う。広告にも同じ…

吠える社員

ワクチン接種が進んだアメリカでは、職場復帰が始まっている。コロナ前後で変わったことはたくさんある。その一つは、ペットを飼った人が増えた。そして、閉鎖的な自宅作業で、ペットに救われたという人が多いと言う。 1年半のコロナ禍に、1,260万世帯が、…

少し狂ってないと、生きられない③

Jobs' Porshe 911 Think Differentのキャンペーンは、4人の著作者がいた。 ・キャッチフレーズとビジュアルは、クレイグ・タニモト ・Seal"Crazy"「少し狂っていないと、生き残れない」にインスパイアされた コンセプトは、リー・クロウ ・映画「いまを、生…

少し狂ってないと、生きられない②

(→前号同様、シルタネンの手記を引用する) 「いまを生きる」 クロウからプレを受けたジョブズは、ビデオがとても気に入ったようだった。 「これは、素晴らしい。とても素晴らしい。でも、これは、採用出来ない」とジョブズは言った。「Appleのロゴの下に天才…

少し狂ってないと、生きられない①

結婚しても自分の姓を続けたいという自由意志が、最高裁で再度否定された。性の自由を認める「LGBTQ」法案も、国会で「こんなことを認めると、裁判沙汰が多くなる」という言葉で見送られた。国際的には「これからは、多様性の時代」と、政治家が同じ口で言っ…

誰もヘンリーにはなれないけど

コロナ禍の報道で、酒好きの若者が路頭に溢れるほどいるというのを知った。コロナ以前は、若者のアルコール離れが激しく、残業手当つくんですか?と会社の付き合い酒を避ける若い社員が増えたとか嘆いていたような気がするが。 コロナ禍は、新橋の根室食堂の…

スープは鬱に効く

”The heart is a lonely hunter”という二人の盲目の青年の名作を読みもせず、不謹慎にもタイトルが好きだ。 しかし、今は、”心は孤独なハンター”という情緒的な言葉は通用しない。AIのスティルス・マーケティングの時代になり、「人の心」はミリオンセラー小…

辛抱した人だけが笑顔になれる

Alex Prager アメリカはコロナに打ち勝っている。7月4日の独立記念日までに国民の70%のワクチン接種率を目指すよう、バイデン大統領が発破をかけている。 ”これを達成したら、お祝いにバドワイザーもしくはノンアルコールビールを、飲酒適齢のアメリカ人に…

拍手は弾丸になる

寺の名は、興国寺。短い参道から色んな形の墓石が見えた。外人墓地のようにも見え、興味半分で、墓地に足を踏み入れた。ふっと風が流れ、背中がゾワっとしたが、それよりも、手前の墓標「喝采抵抗子」が気になった。そして、墓石に赤い紐で結びつけられた塔…

散歩はコロナ犬で

訓練は、コロナ感染者の靴下やTシャツの脇の下にこすりつけた綿棒を使うそうだ。人間の唾液の飛沫でコロナ感染するので、綿棒を嗅ぐことで、犬は感染しないそうだ。 コロナ菌だけではなく、糖尿病、パーキンソン病、マラリア、ある種の癌を臭覚で発見するこ…