炎上

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「彼は、学生でバーテンダーだ」と「彼は、バーテンダーで学生だ」は、印象が全く違う。”学生バーテンダー”は、遊び好きの大学生の匂いがする。”バーテンダー学生”は、人生を変えようとしている頑張り屋のイメージがする。順番を変える、先に何を言うかで、印象が異なる。この手口は、広告の常套手段でもある。

こういう印象操作は、必要悪ともいえる。その必要悪を求めるのは、差別化のない同質化した広告商品の存在だ。例えば、ミネラル水のクリスタルガイザーは、某スーパーマーケットの廉価なプライベートブランド同じ水源を使っている。日本のスーパーマーケットのプライベートブランドは、殆どがトップメーカーとの協働作業から生まれている。驚くことに、2004年にヒューストンで行われたコーラとペプシの目隠しテストでは、コーラ好きがペプシを選び、ペプシ好きがコーラを選んだ事件が起こった。

広告の中で、印象操作と必要悪は、永遠の愛を誓っている。良いことだけ言って、不都合なことは言わない文脈で購買を推奨する。しかし、ネット時代、広告が黙っている不都合なことを見つけ出して、みんなに伝播する風潮というか、SNSを通じた草の根のようなルートが生まれてしまった。広告にはだまされない人々が多数になった。

広告の影響力が落ちて、企業も広告への依存度が低下し、広告収入に頼っていたテレビ局や広告代理店も過去のビジネスモデルから脱却する必要に迫られている。電通の自社ビル売却の動きは、これとは無関係ではないと考える。

 

話が大きくなってしまった。手に負えないので、小さくする。広告にだまされない人に挑んだクリエイターがいた。あえて不都合なことを言う広告を作って、説得力を得ようと試みた。マックのバーガーにない美味しさを求めて直火焚きにこだわるバーガーキングならではの悩みをオープンにした。「1954年から直火焚き」と謳い、多発した実際の店舗火災をポスターに再現。話題沸騰、ネットに火をつけて、たくさんの顧客と広告賞も獲得した。

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