初めては一度しかない

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 新しいことが多く始まる、4月はいい。誰にでもある初心者の日々を見てみたい。

⭐️AMAZON.COM

オンライン・ブックストア、カタブラCATABRA(アラビア語の呪文、アブラカタブラABRACATABRAに由来)としてスタートしたが「誰も覚えられないし、発音すら出来ない」。弁護士に、創業者のジェフ・ベゾスは社名変更を迫られた。

アルファベット順検索に有利な言葉探しの末、AMAZONにたどり着く。ジェフ・ベゾスにとって”世界一の大河”と言うのが気に入り、本社(当時は)ガレージにいる社員を前に、文句を言わせないぞとばかり、勢いこんで発表したが(CATABRAという変な社名を受け入れていた)社員だけに反応が薄かったようだ。

 

ロングテール商品などきめ細かな在庫を揃え、AIを導入した在庫管理・検索で迅速な配送を可能にし、世界を、生活を変え、年間売上げ30兆8,600億円(2020)のオンラインマーケットの革新を果たした企業になることを、ガレージに立っていた当時の社員は誰一人想像していなかっただろう。ましてや、「大河のように〜」と新社名を発表していた新人社長が、世界一の富豪になることも、ネーミングを一緒に考えてくれた妻と離婚することも、誰も見通せなかっただろう。

 

⭐️GAP

個人的な不満をテコに事業をスタートした人もいる。創業者のドン・フィッシャーは、自分の体格にフィットするズボンが見つからないことに腹を立て、多くの人も同じ悩みを持っていると考え、各スタイル、各色で、全サイズを取り揃えたジーンズ店をオープンした。その後、全ての人のためのアパレル・ブランドGAPを展開し、成功させた。満足は過去形であり、不満は未来形であるという学びを、フィッシャーは、ビジネス・チャンスに変えた。

 

⭐️STARBUCKS

コーヒー豆焙煎・販売の会社を辞めたハワード・シェルツは、シアトルの3人の友人、文筆家、英語教師、歴史教師とエスプレッソ・カフェSTARBUCKS,COFFE,TEA AND SPICESを開店した。店名は小説「白鯨」の苦難を切り拓く一等航海士STARBUCKの名前を借用した。(このことを知ると、ロゴマークに何故人魚がいるのか腑に落ちる)。水のように飲むオフィスのコーヒーにお金を払わない米国人に、これなら払っていいと思わせる価値観を共有させる苦難が見えたからに他ならない。新人社長の仕事は果てしなくあった。

 

メニューのオプションを豊富に準備し、自分好みに合わせたものができる満足感と、注文時に一手間かける”通の愉しみ”を顧客に与え、他のコーヒーハウスにはない体験を共有させた。

今や平均的なスタバ顧客は、月6回利用、トップ20%の顧客は、月16回利用する。仕事してもいい、長居できるカフェとして会社、自宅の間にある”第3の場所”サブカルチャーを確立させた。辞めた会社に提案して受け入れられなかった「イタリア男たちが、昼間立ち寄って時間を過ごすエスプレッソ・カフェの香る空間」という初心を結実させた。

 

⭐️McDonald's

1952年に閃いた”先見の明”。ミルクシェーク製造機のセールスマン、ロイ・クロックが、カリフォルニアでマクドナルド兄弟が経営していた”早くて美味しい”ハンバーガー・レストランを、2億70万円で買収。多額の借金を背負った新人社長が誕生した。

 

汗臭い機械のセールスマンより、ハンバーガーを売ることを選んだクロックは、全米初のセルフサービスのファーストフード事業の仕組みを創り、2億円の初期投資を回収し、世界119カ国、従業員180万人、年間売上げ1兆9,000億円(2020)に成長させた。

 

また、原材料を確保するため、精肉会社が集まっているシカゴに本拠を構えたことで、地元の広告会社レオ・バーネットとの付き合いが始まり、”Smile $0"という名コピーを享受したことは有名である。

 

 

        (以上、ハーバード・ビジネス・レビュー誌のデータを参考に記述)

 

変な社名を考えた新人、不満を抱えていた新人、失業の失意から立ち上がった新人、2億70万円のローンを抱えた新人に肩を並べてルーキー体験をする全ての人に捧げたいブログです。