辛抱した人だけが笑顔になれる

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Alex Prager

アメリカはコロナに打ち勝っている。7月4日の独立記念日までに国民の70%のワクチン接種率を目指すよう、バイデン大統領が発破をかけている。

 

”これを達成したら、お祝いにバドワイザーもしくはノンアルコールビールを、飲酒適齢のアメリカ人にご馳走!”広告史上最大の2億人へのプレゼント・キャンペーンを仕掛けている。ワクチン接種を反対しているトランプ支持の多いミズーリー州の企業というのも皮肉ですね。

 

キャンペーンのコマーシャルは、観ていると、頬がゆるみます。コロナで会うことを我慢していた色んな人々が、出かける用意をしている。友達だったり、デートだったり、初めて会う人だったり、そわそわ、うきうきしている様子が伝わってきます。日本の私たちにもこういう日が早くきてほしいと思わずにはいられません。

 

CMのディレクターは、MoMAにもセレクトされている写真家で、エミー賞受賞のアレックス・プレイガーAlex Prager。

 

みんな、辛抱したんだね。単にビールを飲むことが、こんなに心ときめく瞬間になろうとは、”お帰りなさい、アメリカ。ビールを手にしよう。Welcome back America. Let's grab a beer.”

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大袈裟に言えば、このCMのような、全ての人が幸せな気分になれるマーケティング・コミュニケーションは、広告人が求めるものとも言えます。

 

これは、1931年に、歴史学者のジェームス・アダムズが生み出した”アメリカンドリーム”という概念です。「ひとりひとりが、生まれた境遇や巡り合わせにかかわらず、授かった能力を存分に発揮でき、あるがままの姿で評価されるような、そんな社会秩序を打ち立てるのが国の夢、アメリカン・ドリームである」。この考え方を推進して、経済を盛んにさせてきたのが、広告の歴史。幸せな気分にしてくれる広告に触れて、乾杯したくなる人が多いと思います。