1位しかない

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全米オープンテニスで、大坂なおみは「しばらくテニスから離れたい」と言った。「彼女は甘えている。全てのチャンピオンは、厳しい状況を克服して、その地位を得ている」と誰かが言った。イワン・レンドルが引退した時「これで、毎日練習をしなくてすむと思ってほっとした」と言っていたのが、印象的だった。

 

NYタイムズは、別の見方をしている:ゴルフでは、4位の選手が「今週はいい戦いができた」と笑顔でコメントしているが、テニスには1位しかない。また、キャディから助言を受けプレイできる。しかし、テニスでは、初めから終わりまで、一人きりだ。

 

70年代のスーパープレイヤー、ビヨルン・ボルグは、全米オープンで1度も優勝できず、4度目の敗退では、記者会見にも現れず、それ以来2度とメジャー大会には戻らなかった。30歳で引退した無敵のステファニー・グラフは、コートに向かう情熱を失くしたというのが、引退理由だった。

 

ほとんどのスポーツマンは、肉体の限界より、精神の限界でキャリアを終える場合が多い。

 

ジョン・マッケンローは「オオサカの素直さが、同じ悩みを持つ多くの選手を励ましただろう。しかし、この素直さゆえに、彼女を克服する悩みは深い」と言っている。だからこそ、彼女に復活して希望の光を見せて欲しいとも言っている(以上The New York Times9/6/2021)

 

素人の私たちが願うように、大坂なおみは、プレイスタイルを変えるアプローチを試みて欲しい。一打で勝負をつける強いテニスプレイヤーではなく、多様な巧打で相手を振り回す上手いテニスプレイヤーを目指すという選択肢。このことによって、勝負の結果ではなく、心理戦という経過を楽しむ選手になって、私たちを楽しませて欲しい。もちろん、強打も忘れず。

 

でも、一人でプレイしているのは、彼女だけではない。リモートワークで仕事している自分たちもそうだと思っている人はたくさんいる。彼女は、年に4回の大きな大会だが、私たちは毎日のように、毎週のように、提案書や企画書で勝負させられている。

 

そんなとき、どう挑むべきかを教えてくれるレッスン書のようなナイキのCMがある。皮肉にも大坂なおみが出演している。

 

むやみにゴールに向かっていくのではなく、一つ一つの行動に目標を決めて取り組む。「努力」に「目標」の付箋をつけることを、スポーツを通じて教えてくれている:

 

<すべての行動には、理由がある>

 

自分をより良くするために

もっと上を目指すために

未来のゴールのために

お手本になるために

常識を破るために

ときには、いくども、いくども、できることを証明するために

突破するために

記録をつくるために

 

あなただけの理由を求めるのなら

だれも、あなたを止めることはできない

www.youtube.com

さまざまな努力の方向性を教えてくれている。また、スポーツの世界で生き残る大変さをナイキのブランド広告で学んだ。大坂なおみを責められない小さな自分がいることもわかった。