博士の異常な愛を感じる

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Dr. Strangelove

ロシア・ウクライナ戦争は、夫婦喧嘩だと捉えている人が多いのではないか。

 

夫婦喧嘩は、犬も喰わないと、賢いアメリカ人も加わらないと明言した。夫婦は別居しているが、妻からの離婚届を見て、そんなもの出せる身分かと、夫は妻を罵倒している。「だいたい、お前は、文句ばっかりだ。8年目に、海が見えるクリミヤの部屋をゆずれと言った時も、そうだった」と夫は責める。

 

冷酷な夫に耐えて、妻はつらい思いをしている。いつもそうだが有事には意見がまとまらず、ただオロオロしているだけのソーシャルワーカーの国連君も遠巻きに見ているだけだ。

 

戦火から守ってくれる駆け込み寺のNATOさんも、うちは会員制だしと、つれない返事。以前ウクライナを会員にしようという話が出た時、フランスとドイツが反対した経緯があり、今頃になって、この2カ国が身を乗り出してウクライナの相談に乗っている。

 

偏見に満ちたブラジル大統領の言葉がひどい。「同情はするけど、コメディアンに国の運命を託した奴らの気持ちがわからん。うちは、農業肥料の2/3をロシアから買っているし、ビミョーだね」さすが、”南米のトランプ”だ。

 

リーダーがコメディアンであろうがなかろうが、負け戦になるのは、始まる前からみんなわかっている。

 

ゼレンスキー大統領が、必死の思いでアメリカに助けを求めた時「国外に出た方がいい」と助言され、「私は武器を待っている。タクシーではない」と反論した。

 

コメディアンでなく、普通の政治家だったら、”時は我に味方せず。ケンドジュウライを期す”とか言って、いち早く安全な国に亡命していただろう。一緒に戦ってくれる人物を選んだウクライナ人は正しいと言える。

 

この戦争の残酷なところは、弱い者の側にカメラがあり、こうして負けていくんだというプロセスをまざまざと見せつけられている。

 

「戦争は、女の顔をしていない」というノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの著作がある。男の言葉で語られていた戦争を、女の言葉で語ろうとしたドキュメンタリーだが、この戦争では、弱者の叫びがネットを駆けめぐっている。

 

「我々には、民族と家族と友を想う正義がある。相手には、何もない」というゼレンスキー大統領の言葉が、人々を動かした。

 

しかし、家族と別れて、望んでもいない戦いに向かう男たちの口は重い。モロトフ爆弾を作っているキエフの男たちを見ると、竹槍で戦おうとした日本を思い出させ、絶望的な思いにさせる。

 

ウクライナキエフの駅でバーをやっている女性が「母をポーランドに送り出したけど、私は残る。避難していくみんなに食事を出している」あなたは避難しないのですか?「なぜ、私が逃げるの?この国から逃げるのは、ロシア人でしょ」という言葉が耳に残っている。

 

2017年、映画監督のオリバー・ストーンから観るように薦められたスタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」※のファンなのか、ロシアの大統領は、原爆の使用を否定せず、ウクライナ人の恐怖をあおり、愛国心を抹殺しようとしている。(※https://www.youtube.com/watch?v=AK7-PMdvQ1Y)

 

ウクライナ人の生命時計が止まりかけていると思ったら、今や世界一のドローン生産国になったトルコのドローンを大量装備し、ロシアの侵攻を食い止めているとの報道(Time誌)。この戦果がTwitterに掲載されると、2日間で300万閲覧があったそうだ。ドローンに装備する核弾頭を、窮地のゼレンスキーが求めているとのツイートもある。

 

(twitter画像はコピー不可→YouTubeよりドローンTB2性能の実戦実証ビデオ)

www.youtube.com

ロシア人の動きも早い。3月14日には、親ロ・反米のトルコ大統領に折衝:「お宅のドローンを、うちで全部買うから」「いいけど、お宅のルーブルは通用しないし、ビサ、アメックス、マスターカードもダメだし」と言ったかどうか不明。

 

世界は、”博士の異常な愛情(Dr.StrangeLove)”の核戦争が、現実になろうとしているのか。

 

映画では、”核戦争後は、100年間の地底生活を要求され、政治家と特定の人間には特例があり、一夫多妻制度に移行すると発表。政治家がニンマリする”というブラックユーモアも現実になれば面白いが。コロナの後に戦争、異常な妄想がふつふつ湧いてくる。