「ザッツ・エンターテイメント!That’s Entertainment! 」という映画があった。過去の映画の名場面や名演技が登場する。フレッド・アスティアが、ジャミロクアイの”ヴァーチャル・インサニティ”の天井ダンスをすでにやっていたりして、驚かされる。カサブランカのハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの再会の”時の過ぎゆくままにas time goes by"など、繰り返して何度も観れる、ひたれる。
コンテンツのエンターテイメント性がものを言っている。テレビCMではどうだろう。人を楽しませようと、エンターテイメントの真髄を探求している映画監督が制作したCMを集めると、どんな”That's Entertaiment”になるか見たいと思った。
(「ブレードランナー」「エイリアン」「テルマ&ルイーズ」など映像美に魅せられる)
⭐️リドリー・スコットRidly Scott
最高峰のAppleの”1984"は見あきた。リドリーのストーリー・ボードでご紹介:
地球という惑星を踏破する醍醐味を描いた、トルコ航空CM。中東のローカルな飛行機会社でないことを知る:
(「do the right thing」「マルコムX」人種差別に敢然と立ち向かう。ハーバド大学やNY大学で教鞭をとる監督)
⭐️スパイク・リーSpike Lee
CMは面白ければいい!ではなく、表現の必然性を大切にするディレクション。常にマーケティング・ソルーションを提示している。古ぼけた愛着を棄てる!IKEA”のランプ”が彼の代表作。このCMは、脱・コモディティ(日用品)化をアピールするGAP:
(「セブン」「ファイト・クラブ」「ドラゴン・タトゥーの女」など猟奇映画の旗手)
⭐️デビッド・フィンチャーDavid Fincher
ミュージックビデオのディレクターからCMディレクターとして脚光を浴びたデビュー作(1984)全米癌協会
親友のブラッド・ピットと楽しんだCM。CMに”カルト”は持ち込まないのがモットーらしい:
(「イレーザーヘッド」「ツインピークス」「デューン」などカルト的映像を追求する”超越瞑想”の信奉者)
"カルトの巨匠”デビッド・フィンチャーに対して、デビッド・リンチは”カルトの神”と呼ばれているらしい。神だから、CMでも”カルト”は、つらぬく。”マルホランド・ドライブ”が漂うSONY PSのCM
SONY PL2でも、リンチはすこやかに健在
"That's Entertaining CM!"楽しませてくれたCMたち:
●”偉大な惑星の旅”トルコ航空
●"あなたを退屈させないブランド"GAP
●"愛を殺さないで"全米癌協会
●"好きなものは止められない"ハイネケン
●"異次元へようこそ"SONY PS
ブランドや商品には、”物語”がある。
人とブランドの関係を興味深く語り、楽しませてくれた映画監督たち。
広告におけるフレッド・アステアー、エンターテナーだと思った。