クリエイティブ墓地

東京の中央区、港区、渋谷区などの西の区境に、クリエイティブ墓地があると聞いた。思いを果たせず無念にも成仏できなかった広告「作」を埋葬してあるそうだ。菩提寺は、興国寺という。 カラスの飛来が多い箇所なので、気づかれた人もいると思う。風に乗って…

涙は流れることをやめない

「心を動かす広告を観たい」と思うので、その特集を。でも、コマーシャルになるとチャンネルを切り変えてしまう自分がいるので、Uチューブ検索になる。そういえば、欧米のクリスマスには心温まるCMが流れる。昨年のその頃はコロナ禍、どんなコマーシャルを見…

広告は逆風

開高健の「輝ける闇」「夏の闇」を読み返している。作家が晩年、なぜ「闇」を描きたかったのか。先が見えない混沌の中で解を見いだせない不条理を描こうとしたのか。ベルトリッチの映画「ラストタンゴ・イン・パリ」のマーロン・ブランド演じる絶望男のはか…

非日常が日常になっている

楽しいことを諦めることを強いられたコロナ禍、旅行へ行けない憂さ晴らしなのか、日本のエルメスの入荷を待つ朝の行列に驚く。あるいは、PCゲーム企業の好決算、ネットショッピングの好況、UberEatsが街を走り回る、力をゆっくり奪うステイホーム疲れと戦っ…

こう見えても不幸せです

1度ならず、2度までも、空港で小銭がなくて新聞を買い損ねそうになった忙しい男がいた。 その時「持っていっていいよ。読みたいいんだろう」と新聞を手渡してくれた新聞スタンドの男がいた。しかも、2度目も、1年前と同じ男だった。 忙しい男は、新聞を…

禁欲はいい

コロナ禍の引きこもりで、ビールの家飲みCMが増えている。でも、各社ワンパターンに「うまい、おいしい〜」のCMが横一列に並ぶと、もう感心するしかない。あの「ぷふぁ〜!」とこの「ぷふぁ〜!」がどう違うのか。夏の日にカエルが一斉に鳴いても、どのカエ…

アルデンテな人

「来年は少しはマシになるだろうと去年話していたが、何も変わらない。全く同じことを繰り返しているだけ」と商店主の声。変わったと言えば、東京のネオンが消えたくらいだ。暗いニュース続きに、新聞も元気がない。自宅時間が多い巣篭もり状態なのに、全国…

イエロー狩り

パソコンを長い時間見つめていた。疲れた目と頭を休めるために、ソファに座る。こんな時は何も考えたくない。スナック菓子をつまみながらテレビに目をやる。 ある人が言っていた「ネットは自分から近づいて行かなければならないけど、テレビは、ボ〜としてい…

ビミョーな関係

子供は、親の真似をして育つ。鏡対照のようなミラーニューロンという脳細胞の働きによるそうだ。 人の進歩、成長は、模倣模索から始まる。模倣といえば、中国が頭にまず浮かぶ。友人の中国人によると、中国の先進化政策として、早く追いつくには、模倣するの…

85年かかった涙

ゴルフの多彩な表現力を持っていた松山英樹プロは、世界の4大大会の最高峰マスターズで勝者になった。あの4日間、松山はデータに基づき戦略を巡らせ、あらゆる技術を駆使し、白いボールがグリーンの芝生の上に芸術的なアークを描き、ホールに吸い込まれる…

初めては一度しかない

新しいことが多く始まる、4月はいい。誰にでもある初心者の日々を見てみたい。 ⭐️AMAZON.COM オンライン・ブックストア、カタブラCATABRA(アラビア語の呪文、アブラカタブラABRACATABRAに由来)としてスタートしたが「誰も覚えられないし、発音すら出来ない…

恐れを知らない

その男は、ボルクスワーゲンの安全性を謳うCMで、安全というならスペック通りの事実に沿って証明したいと、生身の人間に運転させ、撮影上の仕掛けなしに、実際の衝突シーンを撮影した。出演者の事前承諾は得ているとはいえ、普通なら、二人の巨額の生命保険…

セールスマンの死

ブラジルのバンドエイドの広告 広告をセールスマンに例える。いろんな商品を販売する人(主としてタレント)が、ほぼ15秒ごとに8人くらいやって来て、叫んだり、踊ったり、食べたり、笑ったりして去っていく。パーティに遅れ、汗を拭き拭き賑やかに登場し…

秘密ではない

willem dafoe コロナ禍、リモートワークが増えた。家の中が騒がしい。「方言が出たら、喧嘩はやめよう」地方出身の夫婦が取り決めた生活の知恵だと、ラジオで聴いた。建前の標準語より、方言は本音に近く、大喧嘩になると、二人は感じていたのだろう。 広告…

炎上

「彼は、学生でバーテンダーだ」と「彼は、バーテンダーで学生だ」は、印象が全く違う。”学生バーテンダー”は、遊び好きの大学生の匂いがする。”バーテンダー学生”は、人生を変えようとしている頑張り屋のイメージがする。順番を変える、先に何を言うかで、…

草原のビョーク

240万年前に人類が発祥したとされるエチオピアのオモ川流域の部族は、自然を擬態することで、美しさを競い合っている。北欧の歌手ビョークのビデオ顔負けのオシャレだ。 この「草原のヒョウ」を思わせる異端のファッションは、みんなを楽しませて、村で評…

3.11

「ぎゃ〜」人のまばらな私鉄駅のホームに騒がしい声が響いた。列車に乗り遅れた女子高校生たちの奇声だった。10年前の3月11日、乗り遅れなくて悲劇にあった小学生たちがいた。 スクールバスが、グルグルンという重いディーゼル音を轟かせながら、ゆっく…

ラブレター

買うきっかけづくりをするのが、広告の主な役割。このためには、制作者は、生活者の気持ちに寄り添い、分かってあげる必要がある。「広告は、ラブレター」と言われるゆえんだ。 著名なクリエイターのデイヴィッド・ドラガの広告制作の姿勢に、人への思いが集…

タイガー

静かな朝の喫茶店でパソコンをにらんでいた50代の男性が、「お前のレポートはちっとも面白くない」押し殺した重い声を発した。喫茶店の片隅でやるようなリモート会議では、最短距離の言葉になる。コロナは、余裕まで奪う。 余裕がないといえば、最近の広告…

1984

腕のアイウオッチの電話が鳴った。腕の時計に向かって話しながら、1930年代に生まれたアメコミの“ディック・トレーシー”が、90年前にやっていたことと同じだと思った。このアメコミが記憶の片隅にあり、スティーブ・ジョブズが、アイウオッチを開発したこと…